医師は残業代を請求できる!

各メディアでたびたび報道されているとおり、病院の医師たちの勤務状況は、企業で働く従業員よりもはるかに過酷であることが多いです。夜間当直や急患の対応に追われて夜通し働いた後、眠る間もないまま通常通り日中の診療を行う、などといった厳しい状況が常態化してしまっているのが見受けられます。その原因としては、昨今の医師不足や病院の経営難の影響が大きくあります。近年ではこの状況はさらにひどくなっているといえるでしょう。そのような勤務状況であるにもかかわらず、医師たちに時間外勤務の賃金が支払われていないケースが次々と発覚しているのです。
医師は一般的に専門職の代表格のように考えられているようです。「あれ?医師は専門職だから残業代はもらえないんじゃないの?」と思った人も実際問題としているのではないでしょうか。
実は、「専門業務型裁量労働制」を採用できる業種は厚生労働省令により定められているのですが、その中に「医師」「歯科医師」「薬剤師」「獣医師」は含まれていません。労働に関する法律上は、医師は専門職と見なされていないということです。そして法律で定めるところの「専門業務」に属する職種に就いている方は、何時間働いても「〜時間働いたとみなす」というみなし労働制が採用されることがあるのですが、医師はそれに該当しないのです。よって、一般の会社員の方と同様の方法で残業代を計算し、未払い残業代があれば、病院や所属している組織に支払いを請求することができるしくみになっています。
しかし残念ながら、勤務医・研修医で未払い残業代を請求する事例は、一般企業の事例と比べるとまだまだ少ないようです。特に研修医に強く当てはまるのですが、「病院に勤めている期間=医療技術を磨いている期間」、と捉える風潮が強くあります。また、未払い残業代の証拠を集めて労働審判や訴訟を率先して行うほどの時間的・精神的余裕がないことも多いことが挙げられます。
長い下積み期間を経て一人立ちする専門職に従事されている方は、下積みの期間に長時間労働を強いられることもあるでしょう。ですが法律上は、そうした時間に関しても未払い残業代の支払いを請求することができます。もしも度重なる残業によって心身に不調をきたすほどの状態に悩まされている時は、残業代の請求と待遇の改善を考慮してみる余地はあるかと思います。